プレスリリース、2015年5月21日

第15回日本映画祭「ニッポン・コネクション」:全ラインナップ発表!
多彩な特別企画と豪華ゲストで送る、15周年記念プログラム

今年で15周年を迎えるフランクフルトの日本映画祭「ニッポン・コネクション」の上映プログラムが決定いたしました。2015年6月2日から7日にかけて、100本を超える作品が上映されます。そのうち33作品がドイツ・プレミア、3作品がヨーロッパ・プレミア、30作品がインターナショナル・プレミア、さらには1作品がワールド・プレミアを飾ります。日本から50名を超える監督、プロデューサーそして俳優の方々がゲストとして来独し、自ら上映作品を紹介し、来場者との質疑応答に臨みます。また、ニッポン・コネクションは、映画上映のみならずバラエティ豊かな文化プログラムをご用意し、ワークショップや講演、展覧会、コンサートなど様々な形で、来場者の方々に日本文化に触れる機会を提供いたします。

上映作品と来独ゲスト

 華々しい映画祭の幕開けにふさわしく、6月2日にオープニング作品『私の男』が上映されます。日本映画界のスター、浅野忠信氏をメイン・キャストに迎え、狂おしい愛を描いたこの作品は、ニッポン・コネクションにてドイツ・プレミアを飾ります。オープニングには熊切和嘉監督と浅野忠信氏が直々に登壇し、国内外で数々の賞に輝いたこの作品を紹介します。浅野忠信氏には上映前に、オープニングを飾るイベントとして、ルフトハンザ協賛による第一回ニッポン名誉賞を授与いたします。浅野氏は今年の上映作品の中で、山崎貴監督の『寄生獣』『寄生獣・完結編』などの作品にも出演しています。
 また今回の映画祭では、更に女優の安藤サクラ氏をゲストとしてお迎えします。安藤氏には武正晴監督と脚本家の足立紳氏と共に、ボクシングを通じて成長する1人の女性を描いたドラマ『百円の恋』を、ドイツの観客に紹介していただきます。現在日本映画界を牽引する若手女優の1人である安藤サクラ氏は、今回の映画祭プログラムの中では、安藤桃子監督の『0.5mm』でも主演を務めています。

 毎年人気の部門ニッポン・アニメでは、メジャーな製作会社からインディペンデントまで、様々な日本の新しいアニメ映画を紹介します。待望の日本国外初上映となるのは、大人気シリーズの映画版『サイコパスー劇場版』です。また、市川崑監督によるアニメ映画『新選組』(2000)も、海外初上映となります。

福島 – 3.11の”その後”を描く映画

 福島の原子力発電所での事故とその影響は、今なお多くの映画でアクチュアルなテーマとして扱われています。鎌仲ひとみ監督はこの機会に来独し、事故のあった福島の地域とチェルノブイリとを対比させて描いたドキュメンタリー作品『小さき声のカノンー選択する人々』を紹介します。原村政樹監督の『天に栄える村』は、福島地方でのオーガニック米生産のための農業協力の運命を描いています。ドイツ在住の鈴木光監督による短編映画3作品は、自身の故郷である福島を芸術的なモンタージュ技法で表現しています。篠崎誠監督の劇映画『Sharing』は、2011年の東日本大震災で家族を失った人達の心の傷を映し出します。

テーマ:日本の高齢化社会

 ドイツだけでなく、日本でも「高齢化社会」というテーマは重要な問題として、多くの映画で扱われています。坂口香津美監督による珠玉のドキュメンタリー作品『抱擁』は、老いに立ち向かう自身の母親が、彼女の亡き娘と夫を弔う様を描いています。イアン・トーマス・アッシュ監督の『-1287』は、癌と闘うカズコが、死を迎えるまでの最後の年月を記録に収めたポートレイトです。その他にも、安藤桃子監督による、仕事を失った介護ヘルパーが主人公の悲喜劇『0.5mm』、世代間のすれ違いを織り込んだ廣木隆一監督のロマンチックドラマ『娚の一生』、往年の時代劇にオマージュを捧げる、落合賢監督の『太秦ライムライト』など、歳を重ねる主人公たちをユーモラスに描いた作品が集まっています。

パートナー都市: 横浜

 フランクフルトと横浜市とのパートナーシップを記念し、横浜市内にキャンパスを構える東京藝術大学との特別企画が生まれました。東京藝術大学の学生による卒業制作映画の中から優秀作品が上映されます(『息を殺して』五十嵐耕平監督、『Brakemode』ポール・ヤング監督)。また、伊藤有壱教授によるアニメーション・ワークショップでは、子供から大人まで幅広く対象として、アニメ映画の制作過程を体験することができます。

フォーカス: 沖縄

 沖縄発の映画も今年のプログラムの目玉の一つです。ベルリン映画祭で好評を博したSabu監督の『天の茶助』から、高山創一監督による異色のB級ホラー映画『ハイサイゾンビ』、茂木綾子監督による詩的なドキュメンタリー映画『島の色 静かな声』まで、沖縄からは非常にバラエティに富んだ作品が生まれています。

日本映画史探訪

 国際交流基金とフランクフルトのドイツ映画博物館の協力の下、今年のレトロスペクティブは、「輝きと躍動」と題し、相米慎二監督(1948-2001)作品を特集します。彼は『翔んだカップル』(1980)などの作品により、日本の青春映画の一時代を築いた監督として、今日まで知られています。今回、合わせて9本の相米監督の作品が、ドイツの観客との出会いを待ち受けています。

 更に時代を遡るプログラムとして、日本映画の伝統的な存在である弁士の片岡一郎氏をゲストに迎え、伴奏音楽つきで映画上映を行います。片岡氏は、稀有な1920-30年代の日本の白黒サイレント映画に、弁士として口述による解説を施し、当時の上映環境を現代に蘇らせます。現代ではなかなか経験することのできない、貴重な映画体験を是非お楽しみ下さい。

コンペティション

 「ニッポン・シネマ」部門の観客賞である「ニッポン・シネマ賞」は、今年で第11回目の授賞となります。賞金の2,000ユーロは、フランクフルトのメッツラー銀行から提供されます。また国際審査員により「ニッポン・ヴィジョンズ」部門の上映作品の中から選ばれた最も優れた長編作品に、「ニッポン・ヴィジョンズ審査員賞」が贈られます。今年の審査員のメンバーは、著名な廣木隆一監督、熊切和嘉監督、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭のディレクターを務める塩田時敏氏が務めます。受賞作品には、日本映像翻訳アカデミー(於: 東京)の協賛による、次回作の字幕製作権が与えられます。「ニッポン・ヴィジョンズ観客賞」は観客の投票によって受賞作品が選ばれ、フランクフルト日本文化普及センターの協賛により、賞金1,000ユーロが贈られます。

カルチャーイベント

 15周年目の今年も、映画上映だけでなく、カルチャーイベント、ニッポン・カルチャーでは様々な催しをご用意しています。食事や買い物の楽しめる日本マーケットの他にも、五感で日本を体験出来る様々なワークショップ、講演会、コンサート等が行われます。

個展

 6月4日から14日まで、Ausstellungsraum Eulengasseでは東京のワイルドなパンク(音楽)シーンの新たな一面が見られる写真展、Burning Soul-Tokyo Punk Photography が開催されます。79歳の写真家、松下弘子氏は22年に渡り日本のパンクシーンを撮り続けてきました。

Kinema Club Conference

 世界的にも重要な意味を持つ日本映画に関する会議、Kinema Club Conferenceがフランクフルト大学映画学科との共催で行われます。ニッポン・コネクションがホストを務めるのは今回で二度目となります。講演を通して、現代日本映画におけるテーマや様式の変化、政治的意義を知ることができるでしょう。

コンサート

 6月3日22時30分からメイン会場のKünstlerhaus Mousonturmで行われる、ニッポン名誉賞初代受賞者、浅野忠信氏と独仏バンドStereo Totalによるライブパフォーマンスは、来場者に魅惑の一夜をお届けします。浅野氏は自らが主演する、Khavn de La Cruz監督作品『Ruined Heart: Another Lovestory Between a Criminal & a Whore』の印象的な映像に合わせて、Stereo Totalと共に演奏します。

 日本のアンダーグラウンド音楽シーンからはとっておきのバンド、福岡の民族系トランスロックバンド、Habanaがやって来ます。6月6日22時からのライブでは、ロックとトランスの融合から生まれる新しい音の境界に出会えます。ビジュアル音楽フェスティバルでの受賞経験のある、アーティスト二人組、Usaginingen(ウサギニンゲン)は、6月5日21時からパフォーマンスを行います。様々な映像と音の糸を紡ぎ合わせた、夢と現実の間を漂う様なオーディオ・ビジュアル体験が来場者を待ち受けています。
 その他三つのコンサートでは、著名なアーティストである山口整萌(尺八)、夕田敏博(太鼓)、Tony Clark(尺八)、Holger Mantey(ピアノ)、中嶋宏行(書家)による、日本の伝統音楽と現代音楽のアンサンブルが楽しめます。

ニッポン・キッズ

 今年も、子供向けフェイスペインティング、日本語や習字のワークショップ、魅力溢れるアニメ映画、『かぐや姫の物語』など、様々なキッズプログラムが用意されています。

運営

「ニッポン・コネクション」映画祭は、2000年より公益法人ニッポン・コネクションe.V.のボランティアチーム70人によって運営されています。

会場

Künstlerhaus Mousonturm アーティストハウス・ムゾーン・タワー(通称:ムゾーン・タワー), Waldschmidtstr. 4, Frankfurt-Bornheim (メイン会場)
Theater Willy Praml in der Naxoshalle テアーター(劇場)ヴィッリー・プラムル / ナクソスホール, Waldschmidtstr. 19, Frankfurt-Bornheim (メイン会場)
Deutsches Filmmuseum ドイツ博物館内上映ホール, Schaumainkai 41, Frankfurt-Sachsenhausen (ニッポン・レトロ)
Mal Seh’n Kino マール・ゼーン映画館(キーノ), Adlerflychtstr. 6, Frankfurt-Nordend (再上映)
Die Käs ケース劇場, Waldschmidtstr. 19, Frankfurt-Bornheim
GDA Wohnstift am Zoo GDAレジテンス, Waldschmidtstr. 6, Frankfurt-Bornheim
Ausstellungsraum Eulengasse アテリエ・オイレンガッセ, Seckbacher Landstr. 16, Frankfurt-Bornheim (展示)

チケット

ドイツの全てのADticket前売り販売窓口でもチケットを購入できます。詳細は下記サイトでご覧ください。 www.NipponConnection.com

プログラム一覧

ニッポン・シネマ

『百円の恋』 武正晴監督、日本 2014
『箱入り息子の恋』 市井昌秀監督、日本 2013
『天の茶助』 SABU、日本 2014
『花宵道中』 豊島圭介監督、日本 2014
『野火』 塚本晋也監督、日本 2014
『娚の一生』 廣木隆一監督、日本 2015
『さよなら歌舞伎町』 廣木隆一監督、日本 2014
『トレジャーハンター・クミコ』 デビッド・ゼルナー監督、アメリカ 2014
『味園ユニバース』 山下敦弘監督、日本 2015
『私の男』 熊切和嘉監督、日本 2014
『ぼくたちの家族』 石井裕也監督、日本 2014
『喰女 -クイメ-』 三池崇史監督、日本 2014
『紙の月』 吉田大八監督、日本 2014
『寄生獣』山崎貴監督、日本 2014
『寄生獣 完結編』 山崎貴監督、日本 2014
『円卓 こっこ、ひと夏のイマジン』 行定勲監督、日本 2014
『野のなななのか』 大林宣彦監督、日本 2014
『ソロモンの偽証 前篇・事件』 成島出監督、日本 2015
『ソロモンの偽証 後篇・裁判』 成島出監督、日本 2015
『太秦ライムライト』 落合賢監督、日本 2014
『水の声を聞く』 山本政志監督、日本 2014
『渇き。』 中島哲也監督、日本 2014
『島の色 静かな声』 茂木綾子監督、ドイツ/日本/フランス 2008
『座頭市』 北野武監督、日本 2003

ニッポン・アニメ

『アップルシード アルファ』 荒牧伸志監督、日本/アメリカ 2014
『Everything Visible – Japanese Indie Animated Shorts』日本 2012-2014
『劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス』 本広克行監督/塩谷直義監督、日本 2015
『新選組』 市川崑監督、日本 2000 『ねむれ思い子 空のしとねに』 栗栖直也監督、日本 2014
『タクシードライバ祇園太郎 THE MOVIE すべての葛野郎に捧ぐ』 永野宗典監督、日本 2014
『東京藝術大学:アニメーション』 日本 2015
『かぐや姫の物語』 高畑勲監督、日本 2013(ニッポン・キッズ)

ニッポン・ヴィジョンズ

『-1287』 イアン・トーマス・アッシュ監督、日本 2014
『0.5ミリ』 安藤桃子監督、日本 2013
『3泊4日、5時の鐘』 三澤拓哉監督、日本/タイ 2014
『The Cockpit』 三宅唱監督、日本 2014
『デュアル・シティ』 長谷川憶名監督、日本 2015
『天に栄える村』 原村政樹監督、日本 2013
『ハロー、スーパーノヴァ』 今野裕一郎監督、日本 2014
『はいさいゾンビ』 高山創一監督、日本 2014
『鼻目玉幸太郎の恋』  田代尚也監督、日本 2014
『Hikaru Suzuki Special』 日本 2008、2012、2014
『息を殺して』 五十嵐耕平監督、日本 2014
『In & Out of Japan Vol.2』 『ふざけるんじゃねえよ』清水俊平監督、日本 2014 (Japan Meets Korea)
『BRAKEMODE』ポール・ヤング監督、日本 2014 (Japan Meets Korea)
『夢は牛のお医者さん』 時田美昭監督、日本 2014
『小さき声のカノンー選択する人々』 鎌仲ひとみ監督、日本 2014
『お盆の弟』 大崎章監督、日本 2015
『始まりの風景』 篠原篤監督、日本 2013
『Sharing』 篠崎誠監督、日本 2014
『多摩美術大学スペシャル』 日本 2014
『色道四十八手 たからぶね』 井川耕一郎監督、日本 2014
『抱擁』 坂口香津美監督、日本 2014
『No Silence, Please! 弁士・片岡一郎によるサイレント映画上映:雄呂血』 二川文太郎監督、日本 1925 『No Silence, Please! 弁士・片岡一郎によるサイレント映画上映:警察官』 内田吐夢監督、日本 1933

ニッポン・レトロ

『魚影の群れ』 相米慎二監督、日本 1983
『翔んだカップル』 相米慎二監督、日本 1980
『夏の庭』 相米慎二監督、日本 1994
『風花』 相米慎二監督、日本 2000
『ラブホテル』 相米慎二監督、日本 1985
『お引越し』 相米慎二監督、日本 1993
『ションベン・ライダー』 相米慎二監督、日本 1983
『雪の断章 情熱』 相米慎二監督、日本 1985
『台風クラブ』 相米慎二監督、日本 1984

ニッポン・カルチャー

コンサート/パフォーマンス/パーティー

Nippon Live on Stage: Tadanobu Asano & Stereo Total / Nippon Live on Stage: Habana / Japanese Music Ensemble / Usaginingen / カラオケパーティー

アート

ライブ・ペインティング(こだまこずえ)/ Burning Soul – Tokyo Punk Photography / ビデオ・インスタレーション Tokyo Reverse

グルメ

ニッポン・フィルムブランチ/ニッポン・フィルムディナー/日本食グルメツアー/日本料理講座/酒ワークショップ/茶会/スープ・ラウンジ

ワークショップ

弁士ワークショップ/折り紙ワークショップ/合気道ワークショップ/アニメ・ワークショップ/映画字幕ワークショップ/三線ワークショップ

講演/朗読会

Fukushima and the Cinema of Slow Death (Dan O’Neill) / Atombombenliteratur neu gelesen (Christian Chappelow) / The Load: Letting Go of History (Stephen Sarrazin) / Film Criticism in Japan (Maria Römer) / Shinji SOMAI & the Long Take (Aaron Gerow) / The Coming of “Anime” (Roland Domenig) / 朗読会: ”KUROSAWA – Die Ästhetik des langen Abschieds.“ (Dr. Marcus Stiglegger) / Kinema Club Conference

その他

番外編: ニッポン・ホームシネマ / 囲碁体験 / ゲームセンター / ニッポン・ブッククロッシング / 指圧・整体体験

ニッポン・キッズ

アニメ・ワークショップ / ベビー指圧ワークショップ / 書道ワークショップ / 漫画とアニメで体験: 日本語講座/ ニッポン・フェイスペインティング / 映画上映『かぐや姫の物語』